隣りのぷ〜さん

早稲田伊知朗(わせだ いちろう)は自暴自棄になっていた。
会社をリストラされ、失業保険も切れた。残った貯金も、あと2ヶ月もすれば尽きるだろう。
死を覚悟した俺の脳裏に浮かんだのは、唯一微笑みかけてくれた女の子のこと。そう、通勤の時にいつも見かけた、ミニバイクの女の子のことだ。

「死ぬ前に、あの子のパンツが見たい……」

そう思い立った俺は、その子のパンツを覗こうといつも出会う道路に寝そべった。
しかし、見えたのはパンツじゃなくて、ミニバイクのタイヤだった。そう、俺は轢かれてしまったのだ。
暫くして気がつくと目の前には可愛い女の子が俺を見つめていた。

「えっと、俺って誰だっけ?」

「ええええっっっ!」

こうして、俺はミニバイクの女の子の家に連れてこられ、そして華野家に居候することになったのだった。

ミニバイクの女の子、長女の梨咲子ちゃん。

いつもツンツンしてる、二女の美咲ちゃん。

無邪気でかわいい、三女の楓花ちゃん。

三姉妹の家で主夫をしながら過ごす生活。女の子に囲まれ、そして頼られる毎日。
初めて見つけた自分の居場所。
こんな幸せな日々が続けば良いなぁと思っていたのだが、そうもいかなくて……。

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