茸娘の苗床催眠

その森は古くから帰らずの森と呼ばれていた。
森の奥深くまで入った者が行方不明になることが過去幾度となくあったからだ。
通信手段が発達するに伴って、遭難救助という形で助かることが多くなったが、
—それでも毎年この森に入った者の多くが行方不明になっている

そういう恐ろしい森の噂・・
そう、それは僕らにとっては、いつしか絶好の肝試しスポットになっていた。
そして、ある夏の夜、数人の友達とともに森の奥にある大木に名前を書いたシールを貼って帰ってくる。
—そんな遊びを始めたのだった。

もしもーし。
あ、気がついたようだねー。
こんな夜遅くにどうしたの?

ん?肝試し?へー、こんな所まで来るなんて、君は勇気あるんだね。
それで疲れちゃってちょっと眠っちゃったわけだ。ふふ。
でも、いくら夏とは言ってもこんな場所で寝てると風邪ひいちゃうよ?
お姉さんのお家であったかいお茶でも飲んで、休んでいきなさい。

招かれた森の奥の一軒家。
こんな場所に、なぜ人が住んでいるのだろうか?

「私のこと、人間・・だと思っちゃった?」

おちんちんに寄生した胞子は、体中に根付いた菌糸から栄養を吸い上げ、射精とともに完全に君を乗っ取る。
うふふ、ちゃあんと育ててあげるね。
そう、君はお姉さんの子を育てる苗床になるの。
そのおちんちん、もう君のモノじゃないんだよ?

苗床になるってどういうことか、分かっているよね?
人としての体、人としての心、それを全て奪われて、栄養を捧げ続ける。
胞子を植え付けられたら、もう戻れないんだよ?
そんな尊厳を失うようなことをされて感じちゃう、それって馬鹿げてるよね?

ああ–そう。
ヒトに戻れなくなっても–良いんだ?

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