デジタル淫魔のエナジードレイン放送催眠

――物語の導入――
これは、あるTV放送にまつわる怪現象についての調査報告書です。

朝4時頃にテレビをつけると、砂嵐の映像の中から声が聞こえてくる。
という都市伝説は以前からまことしやかに噂されていました。
どこにでもあるような噂話のたぐいなのですが…
当研究所のエージェントが別件の事件を調査していた所、偶然にもある奇妙な共通点を持つ事例を発見しました。

それは、永続性熟睡病と呼ばれています。
ある日突然、眠りに入ったきり、まるで魂が抜けてしまったように目覚めなくなるという症例でした。
健康状態に問題はなく、生命維持装置で延命は可能なのですが、起こすための試みは現在全て失敗しています。

エージェントがその類似する永続性熟睡病の患者に関して本人や第一発見者への聞き込みなどを行った結果、
午前四時のテレビ放送に関連する可能性があることが判明しました。
1.日中に永続性熟睡病になった者はおらず、全ての患者は必ず夜中に入眠している。
2.当該患者は必ずリビングや自室など、テレビに向かい合う形で設置されたソファなどで発見されている。
3.当該患者の発生は地域性や伝染性のあるものではなく、全国でランダムに発生している。

これらの共通点から、午前四時のテレビ放送についての調査が強化されました。
しかし、ランダム性が高く、発生頻度も多くないため、
長い間その放送に遭遇できず、あくまで繋がりは仮定の範囲を出ませんでした。
ですが、先月、ある女性エージェントからそのテレビ放送に遭遇したとの連絡が入り駆け付けた所、
彼女が永続性熟睡病に罹患(りかん)していたことにより決定的なものとなりました。

現在、彼女の「もし同じ症状になった場合は夢魔の研究員に検体として提供し、研究を進めてほしい」との誓約に則り、
夢魔による症状回復の研究・調査が進められています。

発生の頻度は少ないとはいえ、調査担当のエージェントに通達はもちろん、
当面は世間に向けて極力午前四時にテレビを付けないよう、何かしらのアナウンスを出しておくことにします。

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